トランスヒューマニズムが生み出す人工知能の姿

 

トランスヒューマニズム(transhumanism)とは、最先端の科学技術を活用し、人間の身体と認知能力を進化させる思想です。

今回は、トランスヒューマニズムを推進させる機械的な手段として興味深いブレインマシンインターフェース(Brain machine Interface|BMI)について考えてみたいと思います。

ブレインマシンインターフェースとは

ブレインマシンインターフェースとは、脳波をセンサーで読み取りその電子信号の命令でコンピューターを動かすことを実現したり、コンピューターから神経にダイレクトに信号を送ることで、人に視覚や味覚などの感覚を伝える技術です。

 

こうした人間の脳を機械に接続する技術や人間同士の脳を機械でつなぐ技術を活用することでテクノロジーと人類の知性は融合すると言われています。

私たちの脳に蓄積された大量の知識とテクノロジーの広大なメモリ容量とデータの処理速度、知識を共有する能力が融合することによって、新たな世界が生み出されるのではないでしょうか。

ディープラーニングと人工知能のブラックボックス

ディープラーニングで成長するゲームプログラムのことを考えてみます。

報酬系の成長プログラムが実装されると、よりゲームに勝てるようになるまで自身のプログラム内で無数に対戦と学習を繰り返すと以前よりも強くなるのですが、なぜ強くなったかは開発側だけでなく、誰にもわかっていない状態になってしまいます。

データと学習メカニズムが人工知能のブラックボックスにインプットされ、しばらくの間学習すると自然に欲しい成果が生み出されていくからです。

このように、人工知能のブラックボックスによって、人間の知性を超えた存在となる人工知能は、単なる機械から私たち人間の思考を超越する存在になるはずです。

ブレインマシンインターフェースの技術により、近い将来、人工知能と人間が融合することで私たちの思考が強化され、物事の理解力や認知能力が飛躍的に高まることが期待されます。

その時、人間は、強化された自分の能力を、より自分の知性を高めるためのテクノロジーを実現するために活用してゆくのではないでしょうか。

自分たちの思考がAIによって強化される過程で、今まで問題を解明するために10年掛かっていた問題が1日で解決することもあるでしょう。

そのような技術が発展した場合、テクノロジーの進化の速度はどこまで加速し続けるでしょうか。

人間の創造や理解力が一部の人間以外には、追いつかなくなることはないでしょうか。

AIと人間の融合を目指すためには

AIが進歩し、人間の能力を超越すると言われているシンギュラリティは、2045年に起こると言われています。

その時、人工知能の進化に、人間の理解が追いつかない状況に陥らないのかが心配になります。

つまり、AIが自ら人間より賢い知能を生み出すことが可能になり、人間のコントロールできない存在にならないかが危惧されています。

そのような時、ブレインマシンインターフェースの進歩によって、人間が本来持っていない能力を人間がダイレクトにコントールできる環境の中で手に入れることは大きな意味を持つことになります。

なぜなら、AIと人間の融合を目指すためには、AIが人間を追い越すのではなく、人間とAIが共生することが望ましいからです。

人間とAIが安全に共生するためには、AIの能力が人間の能力を超えるまでに、人間がそれを安全・快適に操作できるかAIのセーフティ機能が整備される必要があります。

また、人間とAIの判断が常に一致するとは限らないので、どちらを優先すべきか、その選択の責任所在も判断が難しいものになることが懸念されます。

人間とAIが共生するためには、まだまだ解決すべき問題も多いのです。