私たちは、普段の生活の中で、どのぐらいスマートフォンの画面を見ているでしょうか?
スマートフォンが手元にないと不安を感じてしまうぐらい、私たちの生活はスマートフォンに依存しているかも知れません。
また多くの方がスマートフォンの画面を見ている間は、自分だけの世界に入り込み、周りの世界と隔絶された時間を過ごしているのではないでしょうか。
スマートフォンが手放せなくなる中で、検索サイトやSNSのアルゴリズムによって、フィルターバブルという偏った世界を見て生きていると言われています。
SNSや多くのWebサービスでは、自動的に、自分好みのコンテンツが配信されます。何も考えずとも見たい動画やコンテンツが提供され続け、何時間でも過ごすことができます。
その快適な時間の裏で、フィルターバブルによって、自分の周りに同じ意見の人が集まってしまう現象が起こり、実際は様々な意見があるにも関わらず、自分のまわりだけの意見を、それが正しい意見だと信じ切ってしまう現象が起きているのです。フィルターバブルとは、ネット上で私たちが閲覧する情報が、私たちの過去の検索履歴やクリック履歴、ソーシャルメディアでのつながりなどに基づいて自動的にフィルタリングされ、限定される現象のことです。
そうした現象が、多様性が求められている現代社会でも起きているのが現実です。
多様性が求められている一方で、私たちは自分が興味を持っているものや意見が一致する情報にばかりに囲まれ、多様性のある情報に触れる機会を失っています。
AIによるレコメンド(おすすめ紹介機能)は、私たちの意見や価値観の偏りを生み出す原因となり、社会的分断をさらに加速させる可能性があります。
人工知能による分断化
人工知能による分断化とは、人工知能が私たちの社会に与える影響として、人々を分断し、社会的な不平等を深める可能性があることが指摘されています。
AIが組み込まれたシステムは、人々の差別や偏見を強化することがあることを指摘されています。例えば、人種や性別による差別的な判断を行ってしまうことは、すでに指摘されています。
AIは、膨大なデータからパターンを発見し、意思決定を支援することができますが、そのためには膨大な量のデータが必要になります。こうしたビックデータにアクセスできる組織や個人は、アクセス権を持たない人に比べて有利になります。こうした、情報格差が拡大すれば、AIの恩恵を受けられない人々は廃れ、社会的不平等が加速する可能性があります。
人工知能は活用されていることを気が付かない位、自然に私たちの見たい世界をコントロールし始めています。こうした流れから、社会的な不平等がさらに広がり、分断化が進む可能性があります。
こうした分断化の問題に対応するために、AIの開発や利用において、倫理的な観点を重視する傾向が高まりつつあります。加えて、アルゴリズムの透明性や、AIの利用に関する情報公開などについて、ルール作りや整備をしてゆく必要があります。
人工知能と人間の共存に向けて
人工知能は、データ処理など得意とする分野において、人間に代わって活躍する可能性が高く、人工知能による自動化によって、人間が担うべき仕事が失われることを懸念する声もあります。
そうした問題を解決するために、人工知能と人間の共存に向けた取り組みが求められています。
人工知能は、人間の能力を拡張する可能性も持っています。人工知能と協業することで、人間が判断や創造に必要なデータ処理の部分を担当するなど能力の拡張の恩恵をできます。そのためには、人工知能をどのように活用し、どのような共存関係を築くかが重要な課題となっています。