AIによる人間拡張(AI Augmentation)は、人間の幸福につながるのか?

AIによる人間拡張(AI Augmentation)は、人間の幸福につながるのでしょうか?

AIによる人間拡張(AI Augmentation)は、人間の幸福につながるのでしょうか?
この問いについて考えてみたいと思います。

人間拡張(ヒューマン オーグメンテーション|Human-Augmentation)という考え方は、未来のテクノロジーを考える上では欠かせない言葉ですが、人間の能力をテクノロジーによって増強させることで、私たちの生活をより豊かにするための取り組みです。

人体と一体化するテクノロジーを活用することで、人間の能力を拡張させてゆくのです。
私たちは視力が低下すると眼鏡をかけて視力を矯正しますし、聴力が弱くなると補聴器を使い聴力を補うことをします。アシストスーツを着用することで身体的な負担を軽減したり、動作を改善することもできるようになりました。
同じように、人工知能(AI)を人間が活用できるようになる日も近づいてきています。(むしろ活用が実現され始めていると言えます。)

人がクルマを乗りこなすことを『人馬一体』という言葉で表現しますが、それは人間とクルマ(馬)の境界が曖昧になり、最高のパフォーマンスで能力を使いこなしている状態のことです。
このように、AIの技術を活用する際にも、人間の能力とAIの技術が境界線が曖昧になるほどに融合し、進化してゆくことが望ましいと考えられています。 

人間は、AI(人工知能)の部分も自分自身だと思うようになり、より高い能力を発揮できるからです。
その時に、大切な感覚が「AIを人間が乗りこなしていること」です。人間が主体となり人工知能と協調することで、自らの能力を拡張させてゆくことが可能になるのです。

AIによる人間拡張(AI Augmentation)とは

近い未来に、人間とAIが協働することで、私たちの生活様式が大きく変化してゆく可能があります。
似た言葉で、I.A.(知能増幅|Intelligence amplification)という言葉がありますが、知能増幅とは、情報技術を活用することで人間の知能を増強する考え方です。

機械による知能強化(Machine Augmented Intelligence)の言葉から派生して、人工知能の活用では、IA(知能拡張: intelligence augmentation)というキーワードが使われています。
AI(人工知能)の将来の鍵を握るのは、このAIによる人間拡張(AI Augmentation)のテクノロジーになるはずです。

AIによる人間拡張が、人間の幸福につながるための条件

AI(人工知能)が簡単に活用できるようになると人間の能力は意識することなしに拡張されてゆくことになります。

コンピューターで文字を打つときに活用している漢字の自動変換機能は、その精度が飛躍的に向上していますが、同時に、手書きで文章を書くときに、漢字が思い出せないなど能力の衰えにフラストレーションを感じることも多いのではないでしょうか。
一見、AI(人工知能)を活用することで、人間の余計な作業負担が減り、幸せ度が向上するように感じます。

しかしながら、人間は自らの力で何かを成し遂げることに幸福を感じる生き物で、AIがあらゆることを代行することが人間の幸福感に、ダイレクトにつながるわけではないのです。
人間拡張は、使いこなす選択を人間側に残しておくことで、こういった幸福感を感じることをサポートする技術になるのではないでしょうか?