集団脳と人工知能の発展について関連性を考えてみる。

私たちが日常生活で活用している知識やテクノロジーは、どこも人類が年月をかけて、他人の知識を共有して学び、集団で共有した知識からより優れた考え方を導き出されたものです。
そこには常に進化があり、古いアイディアは淘汰され、より洗練されたアイディアが生み出されてゆきます。
こうした流れのなかで、私たちは、より便利な新しいテクノロジーを手に入れています。
新しいテクノロジーは、誰か一人のイマジネーション(創造力)で大きく進化することがありますが、その後の飛躍的な成長は小さなきっかけを起点に、多くの人が集まったことによって生まれる集団的知性である「集団脳」によって生み出されてゆきます。
集団脳とは、集合知とも呼ばれるもので、人を含む生物は集団で生活することによって、より良い意思決定ができることです。
この集団脳は、集団が大きいほど、より大きな影響を生み出してゆくと言われています。
それは、集団が大きいほど集められる知識が大きくなり、いろいろな考え方が刺激となり、全く新しいアイディアが生まれる可能性が高くなるからです。

情報革命と人工知能の発展

15世紀半ばに登場した活版印刷は、情報革命を生み出した技術と言われていますが、知識を文字に残して、印刷をすることが多くの人に共有することを可能にしました。
印刷によって、同じ知識を多くの人と共有することにより、多くの発明を生み出してゆきました。
そして、現在社会はインターネットという大きな変化の恩恵を受けている世代です。
インターネットは、「集団脳」に全く新しい流れを生み出しています。
インターネットが世界中で一般化したのがWindows95が発売された1995年だと考えるとここ30年のテクノロジーは恐るべき速度で進化していると言えます。
インターネットは、場所と時間という壁を超えました。インターネットが登場する以前は、人々が交流するためには距離と時間の制約が存在していました。
インターネットが身近になり、スマートフォンの普及によって、多くの人が常にインターネットとつながることができるようになりました。
データを送信する技術が発展したことにより、写真や動画などもお互いに手軽にリアルタイムに共有できるようになったのです。
そうした技術を活用したSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は、オンライン上で人間関係を築くことができるサービスとして、多くの人が利用し始めるようになりました。
インターネットとSNSいう道具を手に入れてから、人間が新たに生み出したイノベーションは、数え切れないほどあり、その発明に要する時間も飛躍的に短くなってきています。過去に生まれたアイディアがインターネットのより増幅した集団脳の影響を受けて進化することもあります。
全世界(人類)で情報が共用することで、かつてないスピードで、進化し続けているのです。

莫大なデータをどのように処理をするのか?

私たちは、スマートフォンという道具を手にしたことにより、誰もが手軽に情報を発信することができるようになり、私たちの行動履歴は、GPSや購買データ、操作ログといったデジタルデータとなり集積されるようになりました。
集められた莫大なデータは、知識の集積となり、Googleなどの検索エンジンにより整理され、欲しい情報を探し出せる仕組みが出来上がりました。
しかしながら、集められた莫大なデータ量は、もはや人間が処理できる量の情報ではありません。
こうしたビッグデータを人工知能を活用することで膨大なデータを活用することができるようになりました。そのレベルは従来人間が動かして行っていた分析を遥かに超えるレベルと精度で活用することができるようになっています。

人間の意識は共鳴する。

共鳴とは、振動数が同じ性質を持つ発音体が離れた場所にあっても一方を鳴らすともう一方も音を出すことですが、人の考え方や行動に影響を受けて同調してゆくことも共鳴すると表現されます。
人間の意識は共鳴します。昔から説明が難しい偶然の一致やヒラメキというものを手にすることがあることは広く知られていますし、体験したことがあるのでないでしょうか。
例えば、「虫の知らせ」という言葉は、有名な言葉で、なんとなく良くないことが起こりそうな予感がすることです。そこに理屈はありません。
また、学習環境を研究した多くの論文で、人間の学習能力は、周りにいる人間の能力によって、大きく効果が変わることが証明されています。
このように人の意識は、いろいろなものに共鳴して情報を拾い上げてゆきます。
人工知能と人の思考が共鳴した時に、どのような部分が共鳴するかは未知数です。今まで引き出されていなかった部分が共鳴により現れる可能性もある訳です。
今後、人間が人工知能と出会うことで新たな可能性を引き出すことにも期待する部分があります。