人がコンピューターを使うのか、コンピューターシステムの中で、人間が意思決定をするのか、その違いは大きい。
人間と人工知能が協調して私たちの生活を豊かにするためには、人間だけでは解決できない問題へ対処する必要があります。
そのためには、人工知能が人間から、より良い判断を引き出すサポートができる世界を実現させる必要があります。
定義するだけでは秩序を保ち続けることは難しい
複雑化してゆく社会の中では、ルールで定義するだけでは秩序を保ち続けることは難しいです。
どのように自分たちが持っている美意識や善意を保ちながら、日々の行動を選択してゆくかが求められているのではないでしょうか。
人工知能をビジネスとして発展させるためには、競合との競争もあり、常に聖人のように振る舞うことは難しいかも知れません。
しかし、行動を制約するルールが何も無いから、何をしても問題ないと考えてしまうのは、少し時代遅れな考え方です。
人工知能など、まだ世の中に普及が進んでいない技術は、世の中に大きな影響力を持っているにも関わらず、ルールが未整備になっていることが多いのです。
現代社会では、この未整備なルール、つまり抜け道を探し当て、ビジネスを発展させることが可能であり、競合他社を出し抜き、競争に勝利する考え方として大きな影響力を生み出しています。
そうした手法は多くの場合、一時的に事業を繁栄させることはあっても、利用者の声によって、急速に廃れてしまう結果につながります。
利用者を一度は欺くことはできても、利用者はシビアに状況判断をして、自らが評価の発信者となり影響力を広げてゆきます。
そのぐらい透明性のある世の中になりつつあることを理解しておく必要があります。
人工知能のように、世の中の仕組みを様変わりさせるような技術を扱う上では、規制や法律だけに頼って、活動を制御し続けることはリスクが大きい選択となっています。
これからの時代は、経済的な合理性だけではなく、社会との調和を考えてゆく必要があります。
社会との調和とは、世の中に必要とされていて意義のある活動を行うことです。企業単位で考えると抽象的な表現になってしまいますが、個人の価値観を強く反映させる必要があります。
個人の価値観の反映してゆくためには、自分の中にある大いなる愛を発見することが大事なことであり、その愛を広げてゆくことを意識しておくことが求められています。
「誰かのために役に立つことをすること」が人工知能を活用するための基本姿勢になるはずです。
正しい問いを人工知能が生み出すことが理想
目に見えない環境に新しいものを生み出すためには、ルールだけではなく、意識にも目を向ける必要があります。
人間は、何か自分以外のものと関係性を持つことによって、自分の存在価値を感じるものです。
人工知能との関係性を探究することでも自分の存在価値を探究することはできます。
問題を解決するためには、答えを生み出す質問を投げかけることが大切です。
その問いを人工知能が生み出すことが理想的な関係なのかも知れません。
ピーター・ドラッカー氏の言葉がヒントになります。
『重要なことは正しい答えを見つけることではない。正しい問いを探すことである。間違った問いに対する正しい答えほど、危険とは言えないまでも役に立たないものはない。』
人工知能が人間に適切な質問を投げかけることができれば、新しい気づきを人間に与えることができるはずです。
正しい問いについて、新しい価値観が生まれ、より良い社会が生み出されてゆくのです。