なぜ責任ある AI が重要なのか

 

人工知能(AI)は、人工知能を用いる人の対応によって、良いものにも悪いものにも変化します。

現在の人工知能は、問題とその問題を解決する方向性を人間が正しく人工知能に示してあげる必要があります。

そのデータの与え方次第で人工知能が成長してゆく方向性が決定してしまうので、その方向を決めるのは人間の考え方次第だといます。

今後、様々な意思決定の現場で AI の活用が推進されてゆくことに合わせて、人間がどのように介在してゆくかが重要になっており 、AI が導き出す答えの信頼性を確保することが重要になっています。

AI の誤った判断によるビジネス面への影響は、ケースのよっては企業に致命的なダメージを与える事例も出てきています。

責任あるAI(レスポンシブルAI)とは

現代社会では、人工知能に対する未整備なルール、つまり抜け道を探し当て、ビジネスを発展させることが可能であり、AIが差別や偏見を助長するリスクがあると指摘されています。

そうした背景もあり、急速に発展してゆくAIのテクノロジーを使いこなしてゆくためにも「責任あるAI(Responsible AIレスポンシブルAI)」について考えてゆく必要があります。

責任あるAIとは、利用者や世の中に対して、人工知能の公平性や透明性を担保する方法論のことで、これに基づいてAIを設計・運用することで、本当の意味で、人間に優しいAI活用を実現することを目指すものです。

この「責任あるAI」を実現するための原則を、総合コンサルティング会社のアクセンチュアが、5つの行動指針にまとめた「TRUST」というキーワードがわかりやすいので紹介します。

責任あるAIの5つの行動原則 TRUST

信用できる(Trustworthy)

 AIの設計・構築時、安全性を重視し、物事に誠実に向き合い、多様で広い視点を持つ、という実績を1つ1つ積み上げる 。

A Iが出力するアウトプットが信頼できるものであるためには、AI開発者だけの視点ではなく、消費者も含めた多様な視点をAIシステムのデザインに取り入れてゆく必要があります。

実際に、A Iによって影響を受ける人の意見を取り入れてゆくことが信用できるA Iの開発につながってゆくはずです。

信頼できる(Reliable) 

積み上げられた信用から、将来の高度な判断とより良い意思決定への支持を集める 。

信頼を得るためには、過去の実績が重要となるため、まずは確実な実績を積み重ねてゆく必要があります。

理解できる(Understandable) 

信用を得るためには、AIが透明性を持ち、人によって解釈可能である必要がある 。

まず初めに、AIがなぜそのような結果を出しているのかをシステム的に説明ができる必要があります。つまり、AIの仕組みとアルゴリズム、学習に使ったデータから、与えられたデータに対して、なぜその結果が導かれたかを説明できることが大切である。

説明をされた時に、その仕組みが理解できるものであれば、利用が公開されていないデータを使ったりした場合には、なぜその結果が導かれたかを予測することは難しく、透明性に欠けると言えます。

安全が保たれている(Secure) 

信用を得るためには、企業や顧客の情報・データのプライバシーに配慮し、安全性を確保しなければならない 。

個人情報が利用者が意識していないタイミングで取得されている状態は、安全性が保たれているとは言えません。

自分が直接利用していないサービスから、勝手に情報が利用されている場合には、安全性が確保されているとは言い難いと感じる方が多いようです。

共に学びあう(Teachable)

 信用・信頼を勝ち得たAIと人間とが情報交換し、共創し、相互教育をする世界を実現する、人間中心のデザインを目指していく 。

A Iと人間があらたな価値を作り上げて、お互いに成長できるようなモデルを検討する必要があります。

人間がAIを利用する時に、AIが出した結果が役に立ったのか、改善できるポイントはないかをしっかりと戻してゆくことが大切になります。

そうしたフィードバック作業を繰り返すことで、人工知能はより賢く使いやすいものになってゆくのです。

こののように、責任あるAIを意識して取り組むことで、企業は信頼を獲得するために目指すべき基準が明確になり、AIを自社のビジネス全体に積極的に活用していくことができるようになります。