
2002年に公開されたトム・クルーズ主演の映画「マイノリティ・レポート」で有名なシーンがあります。
主人公が街を歩くとデジタルビルボードから声を掛けられ、パーソナライズされた広告メッセージでコミュニケーションされます。
映画の中で描かれた、SFの世界に存在したパーソナライズドマーケティングの未来テクノロジーがもたらす可能性は、現実の世界でも少しずつ実現し始めています。
映画で描かれたようなパーソナライズドマーケティングは、まだ完全には実現していませんが、近い将来には可能になるはずです。
こうした技術を活用したマーケティングは、顧客と企業の双方にメリットを生み出しますが、同時に個人情報を活用することに対して倫理的な問題もあり、プライバシーの保護を考慮する動きも強まっています。
特にインターネット広告においては、規制が強化されている側面もあります。
リテールメディアが注目されている理由
リテールメディアは、小売業者が自社の店舗内の告知スペースやウェブサイト、アプリなどを使って広告枠としてメディアを販売する動きです。
インターネット広告においては、規制が強化されている面もあり、リテールメディアが注目されています。
その理由は、小売業が自社の購買データを保有していることです。
この購買データに顧客の属性が紐づけられているとパーソナライズドマーケティングに活用することが出来るようになります。
つまり、誰が何をいつ購入したかがわかるので、パーソナライズドされた情報活用が可能になるのです。
もともと小売業は自社のマーケティングを行うためには、ID-POSデータなどを積極的に取得するようにしてきていました。ID-POSは、商品が販売された時点での情報を取得して管理する仕組みです。
POSは「Point of Sales」の略語で、商品が販売された時点での売上情報を収集する仕組みで、そのPOSデータに顧客IDを紐づけたデータも収集しており、ポイントカードなどを活用して紐づけていることが多いです。
こうしたデータを活用することで、個々の顧客のニーズや嗜好に応じて、最適な商品やサービスを提供することで、顧客満足度を高めるとともに、顧客ロイヤルティやライタイムバリュー(生涯価値)を向上させることもできると考えられています。
リテールメディアに人工知能が活用される理由
リテールメディアの価値を向上させるためには、収集した顧客のデータを大量に分析して活用することが求められます。そうした分析を行うためには、人工知能を活用することが重要になります。
人工知能は、大量のデータを高速に処理し、パターンや傾向を抽出することができるため、自己学習を重ねることで、予測能力が飛躍的に向上してゆきます。
人工知能を活用することで、瞬時に、顧客の行動や心理傾向を把握することができるため、最適なコミュニケーションや提案を行うことができると考えられています。
リテールメディアでは、人工知能を活用して、顧客の過去の購買履歴や閲覧履歴などのデータを分析し、顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズされた広告を提供することが可能になります。
特に、リアルタイムのデータ分析が可能になることで、リテールメディアでは、顧客の行動が変化するたびに広告の内容が最適化され、最新の顧客データに合わせて広告を配信することができる可能性があるのです。
リテールメディアとプライバシーの問題
リテールメディアは、サードパーティ・データではなく、ファーストパーティ・データを使って広告配信を行うため、個人情報保護強化に対応できる広告手法だと言われています。
ファーストパーティ・データとは、企業が直接顧客から得た情報のことを指します。ポイントカードで取得している情報は、ファーストパーティ・データになります。
一方、サードパーティ・データとは、他の企業や組織から得た情報のことで、他の企業から顧客の情報を取得した場合や広告配信会社が取得したデータは、サードパーティ・データと呼ばれています。
ファーストパーティ・データを使う場合には、企業が直接顧客から得た情報であるため、その情報がどのように収集され利用されるかが明確にすることができるので、利用方法がブラックボックスになりません。
このように、ファーストパーティ・データを使って広告配信を行うことで、企業は顧客のプライバシーを尊重しながら、効果的な広告を配信することができるのです。