人工知能のシステム投資の障壁となる3つのポイント

企業において、AIのプロジェクトを進めるためには、そのプロジェクトに対する投資を決断してもらう必要があります。企業の代表取締役社長がトップダウンで進めるプロジェクト以外では、ちょっとした壁にぶつかることがあります。今回は、そうした壁にぶつかった際に、発注先の企業で、発注に意思決定に至るまでにどうした障壁があり、その課題をどのようにクリアしていけば良いかを整理してみます。

AIのプロジェクトを進めるため3つの障壁

予算に関する問題

多くの場面で、システム投資の障壁となるのは、予算に関する問題です。
システム開発の予算は、年間を通じてそれなりの規模感となるため、決裁権のある責任者の理解が求められます。限られた予算の中での取り組みはでは、思ったような体制を組むことができず、結果的にプロジェクトの成果を十分に発揮できないことにもつながります。
こうした問題を解決するためには、新しい取り組みによって、どれだけの成果を生み出すことができるかを明確にする必要があります。決裁権のある方が見ているのは、総額の大きさではなく、ROI(Return On Investment|投資収益率)です。その投資でどれだけ利益を上げたのかを示す指標です。プロジェクトの推進がどこまで実現できるのか、その活動によって、どうした課題が解決して、どの程度の経済効果を得られるのかを数字で示すことです。
AIにより改善できる部分は、システムを導入することで、作業時間を大幅に削減できる点などが数値化がしやすいです。部分的な効率化を目指すのであれば、非効率な作業を効率化するために、最適化するコントールをAIを活用することで実現しやすい環境が整い始めています。
プロジェクトの初期段階で、成果につながりやすい取り組みを選定して、確実に成果を出してから本格的に目指すべきプロジェクトに着手する方法が予算に関する問題を乗り越える秘訣です。

作業をイメージできない問題

もう一つ、大きな問題が、発注側が発注後の作業をイメージできない事により発生する問題です。発注前に何を準備しなければならないか、どのぐらいの期間がかかるのか、どのぐらい難しいプロジェクトなのかがイメージできないため、プロジェクトの決断が停滞してしまうことがあります。
発注後にうまくプロジェクトが進まなかったり、発注側の作業負担が多くなってしまって上手くいかなくなることを恐れて、プロジェクトをスタートすることに慎重になってしまいがちです。
そうした問題を解決するためには、具体的なスケジュールをタスクをわかりやすく共有することが大切になります。
}用意すべきタスクのチェックリストや過去プロジェクトのタスク表などを共有しながら、発注側の理解を促進します。
こうした工夫は、発注担当者が、社内で説明するための資料作りなども含めて支援してゆく必要があります。加えて、プロジェクトが長期化する場合には、それぞれのマイルストーンを明確にして、ステップごとのスケジュールと概算予算を明確にしておくことが大切です。

時間やタイミングの問題

多くのシステム開発プロジェクトがぶつかる壁が、時間やタイミングの問題です。予算や納期の課題と向き合う時に、必要だと考えているが今すぐに始めることではないと判断させてしまうことが多いです。そうした問題に直面した際には、時間的には最適なタイミングであることを説明するシナリオが必要になります。特に、DX化を推進するプロジェクトは、単年ではなく複数年にまたがり進める取り組みになるため、中長期的な視点で見た時に、一番ベストな投資タイミングであることを示しておく必要があります。そうした判断には、年度予算や、決算期の時期なども大きく関係してくるので、開発に必要な開発期間や予算枠の確認などを進めて、説得力のある説明シナリオを検討することが求められます。
そうした説明では難しいケースでは、競合の取り組み状況や業界の成功事例などを集めて、プロジェクトの投資が遅れることでの損出を伝えてゆくことも効果があります。

上記の3つのポイントを踏まえて、プロジェクトを進めるための決断を引き出す必要があります。