BeReal.が生み出す価値と不完全性というリアリティについて

人は、不完全なものにリアリティを感じる

SNSでは、投稿するセルフィー(自撮り写真)を綺麗に加工することが当たり前になってしまいました。今のSNSでは、多くの人が、自分を自分自身以上に見せる努力をしているのかもしれません。
そうした加工されて、完成されすぎたSNSの世界には、どこかリアリティを感じなくなってきています。
加工された人工的なリアリティを見続けると、飾っていないありのままの姿や、間違いの残っている不完全なものにこそリアリティを感じるようになるのではないでしょうか。

盛れない写真共有アプリBeRealとは

日常のありのままを友人とシェアすることができる盛れない写真共有アプリがBeRealです。
BeRealは、2020年にリリースされたフランスのソーシャルメディアアプリです。BeRealの特徴は、スマートフォンに通知が届いてから2分という短い制限時間内に写真を撮影し、投稿する写真共有SNSです。
BeRealのユーザーには、その場で写真を撮って投稿するよう促す通知が毎日ランダムな時間に届きます。ユーザーはこの通知を受け取ってから2分以内という制限時間で、フロントカメラとバックカメラで一度に撮影して合成した写真を投稿する必要があります。
投稿の際には、スマホに保存していた写真の投稿や、別のアプリで加工してからシェアすることはできません。当然、今の瞬間はタイミングが悪いので、投稿しないことも選べるのですが、その場合は自分が投稿するまで仲間の投稿を閲覧することができないのです。
つまり、友人のリアルな日常を共有して見られるのが、このアプリの魅力となっているのです。

承認欲求と協調性のバランス

本来、私たちの日常は、意外にも平凡で、安定的なものなのではないでしょうか?
SNS上では、他人の充実した日常が数多く共有されていますが、多くの人は、ごく限られた行動範囲で、変化があまりない日常であっても、そこに幸せを感じているのではないでしょうか。
しかしながら、多くの人が、SNSへ投稿するネタとして、普段とちょっと違うことや誰かにシェアして話題にして欲しいネタを投稿しています。
なぜならば、人には承認欲求があるからです。少しでも話題になるネタを投稿したいと考えているからです。承認欲求は、人によってその強さは様々です。
承認欲求の強く充実した毎日を幅広い人に見てもらって多くの承認を得たいと考えている人もいれば、承認欲求は低いながらも自分と同じ考え方や趣向性を持つ人からの賞賛を求めている人もいます。
そうした路線とは別に、承認欲求よりも仲間とのつながり、協調性を重視しながら交流をしている層もいます。リアルな日常を共有して見せることに抵抗がある方も多いかもしれません。その部分を少し意識的に見直してみる必要があるのではないでしょうか?

リアルであることは、大きな価値を持ち始めている。

綺麗な景色に出会った時に、感動を味わうよりも先に、まず写真に撮ることを優先してしまったりしていないでしょうか?
コンサートや運動会など、ライブイベントでも、肉眼でその場の体験を味わうよりも写真や動画を撮影することに意識がいっていないでしょうか?
目の前に、美味しそうな料理が運ばれてきた時に、まず写真を撮ることに時間をかけてしまったりしていないでしょうか?
リアルを楽しむことの価値は、リアルを体験することに集中することから始まります。
それは、今を楽しむ意識です。自身のリアルな体験価値ほど、人生を充実させるものは存在しません。
リアルであることは、大きな価値を持ち始めているのです。
人工知能やコンピュターグラフィックスの技術が飛躍的に革新した中で、バーチャルな創りモノは、リアルとの区別が難しくなり始めています。
VR空間での体験もリアル以上の体験を感じることができるようになってきております。
これらの体験価値は、リアルな体験よりも手軽で需実したものになる日も遠くない気もします。
だからこそ、リアルであることは、大きな価値を持ち始めていることを私たちは自覚すべきなのではないでしょうか。