人工知能によるデータ分析と現場の肌感覚の違い

人工知能への期待値がデータ分析に関しても高まっています。さまざまな分野で、IoT(Internet of Things|モノのインターネット化)が進み、集積できるデータは膨大な量になりました。スマートフォンなどのデバイスが普及し個人の行動データまで蓄積されるようになりました。インターネット上に私たちの生活活動はログ化され大量に集めされているのです。そうしたビックデータの解析に、人工知能を活用することで、莫大な時間がかかっていたデータ分析を効率的に進める仕組みづくりが研究され続けています。ビッグデータや人工知能を活用したデータ分析から得られる新たな発見や新しい考え方を期待する意見が後を絶ちません。人工知能を活用したデータ分析には、まだまだ研究段階でもあり、無限の可能性が詰まっていると言えます。AI技術が飛躍し始めた背景として、データ処理に必要な高性能なマシンやサーバなどの環境が廉価で利用できるようになったことが大きいですですが、人工知能(AI技術)においても、コモディティ化(一般化)が進んでおり、高度なAI技術が利用できるようにオープンソース化されたり、アルゴリズムが活用できる形で公開されています。そうした背景もあり、オープン化された情報をどのように活用してゆくかが求められているのではないでしょうか。

データを処理するため必要な3つ能力

データ(情報)をどのように活用してゆくかを考えるためには、適切にデータを処理する必要があります。
データを処理するためには、どのようなデータを取得して、どのような分析を進めてゆくかを適切に整理して判断する必要があります。
そのためには3つの能力が必要だと言われています。
サイエンス力:IT、情報処理、AI活用、数学、統計学、確率論、などを理解して活用することができる能力。
エンジニアリング力:データサイエンスを使える形にして運用する力。数学的な考えを応用できる力、一見全く関係ないデータを突合する力、違和感・変曲点・特異点を知る力などの能力。
イノベーション力:物事を変化さセル力、社会変革への企画力・創造力、リスク管理力などの能力。

これらの3つの能力に加えて、ビジネスに活用するために、課題の背景を理解して、ビジネス上の課題を解決する能力も求められています。

データ分析をする上で、現場の肌感覚は大事にしておきたい。

データ分析が進化してゆくと、分析結果を過信しすぎることが起こり始めます。多くのデータ分析は、AIにより自動化されてゆくと、一定以上の精度で、正しい分析結果を毎回導き出します。その中間過程において、人工知能の担当者以外が、データに対しての違和感を感じても、余りにテクノロジーが進化しすぎて、開発を担当しているスタッフ以外には、結果を疑う機会を失い始めています。苦労して不足しているデータを埋めたり、仮説を立てて補ったり、非効率でありますが時間と労力をかけることで、データを見る人の目線も変化してゆきます。データ不足を補うために、現場のヒアリングをおこなったり、見えないものを探す努力に時間を費やします。そうしたデータ分析だけでは見えてこない部分の一例に、現場の肌感覚があります。高度なデータ解析をおこなった結果、今まで肌感覚で試してきた習慣が驚くほど、分析結果と合致しいることがあります。こうした感覚は大事にしておく必要があります。データ分析が高度がしてゆくと潤沢にデータが用意され、データ分析の結果だけを見て判断してしまうケースが増えてくると思います。もし、現場の肌感覚と異なり、違和感がある場合には、別軸で検証を進める取り組みを試みるなど、データ分析を過信しすぎない工夫が必要になります。

人工知能によるデータ分析でデータに違和感がある場合

人工知能によるデータ分析でデータに違和感がある場合には、その違和感を大切にしておく必要があります。違和感を感じた時には、メモなどに記載して後から検証するなど、忘れないように、情報を網羅してあると役に立つと思います。そうしたデータを集めておくことで、根底の問題を発見することにつながります。データ分析は、イレギュラーには弱く、レギュラーにはしっかりと機能する特性があります。ちょっとした違和感、イレギュレーションを探すことで人工知能の判断がずれた時に、軌道修正を加えるヒントになります。