人工知能のレコメンドは人間から何を奪うのか?

 

「パーソナライズ」。つまり個人に応じてコンテンツの表示を変更したり作り変えたりする技術が一般化し、私たちのWEBでの体験は大きく変わり始めている。

 

パーソナライズされたWebは、爆発的に増えてしまったインターネット上の情報から、不要な情報を削り取り、個人に最適化された情報を提供してくれる。

 

膨大に膨れ上がったWebから最適な情報を見つけることは困難で、時間が掛かるものだったが、人工知能(AI)の力によって、その情報探しの精度は恐ろしく高いものに成長し始めている。

 

このテクノロジーは私たちの情報との触れ合い方も大きく変えてしまう。

 

では、具体的にどのような変化をもたらすのだろうか。

 

シンプルに言うと、最適化をすることで情報が無意識の内に遮断され、自分が求めている情報が目の前に自動的に表れる様になることだ。

 

自分の世界では体験することが無い考え方に接することは、自分自身の視野を広めて、新しい世界の発見へとつながる。

そのような機会が著しく奪われてはじめていることに気づかねばならない。

 

強く意識しなければ、個人に最適化された情報は、自分が想像できる範囲においては最適な情報を与えてくれるが、自分が求めていない情報と触れ合う機会を密かに奪い続けている。

 

ある種の居心地の悪さを解消するために整えられた世界は、予想外の出来事や出会いを生むことはなく、人々の向上心や成長意欲を失わせてしまう。

 

情報を遮断したり、改ざんすることにより、都合よく情報統制をかけられることは、過去の歴史の中でも数多くあった。

それ以上の影響力がある人工知能(AI)によるレコメンドによって、都合のいい情報を強調し、都合の悪い情報がかくされてしまうことを意識し続ける事が大切だ。

 

情報の遮断が無意識の内に起こっていることが理解できていれば、普段触れる事の無い情報に触れる事もできるからだ。