フィルターバブルとエコーチェンバー現象が現実を湾曲させてゆく

 

■フィルターバブルの影響とは

フィルターバブル (filter bubble) とは、イーライ・パリサー氏の著書『閉じこもるインターネット』で紹介された言葉で、インターネットの検索サイトが提供するアルゴリズムが、各ユーザーが見たくないような情報を遮断する機能(フィルター)によって、まるでバブル(泡の中)に包まれたように、自分が見たい情報しか見えなくなってしまう現象のことをいう。

Googleの検索結果は、今や誰にでも同じ検索結果を返しているのではなく、人によって違った結果を返していることを知っているだろうか?

Facebookのタイムラインも、エッジランクという評価システムによって、、いいね!数、投稿された時刻、投稿相手とのつながりの深さなどをアルゴリズムとして、表示結果を決定しているのだ。

このようにWEBは、意識せずともパーソナライズ化が加速しており、このパーソナライズ化の波の中で、特に大きな力を持ち始めているのが、GAFA(Google,Apple, Facebook, Amazon)の存在だ。

 

GAFAの読み方は、「ガーファ」と読む。

世界中の人々がこれら4社のサービスをプラットフォームにしているため、GAFA(Google,Apple, Facebook, Amazon)の四強が世界を支配し始めている。

 

GAFAのサービスは、ユーザーの生活を便利で豊かにしてきた反面、個人の情報が独占的に集められていることが消費者を不幸にすることになっている。

GAFAは、ユーザーの使うプラットフォームを提供することで、市場と個人情報の囲い込みを始めている。

■エコーチェンバー(Echo Chamber)による真実の湾曲

エコチェンバー現象とは、同じ考えや思想を持つ人たちの意見が反響するように増幅し、、他を排除するように意見の偏りが生じてくる現象をいう。

フィルターバブルによって、自分の周りに同じ意見の人が集まってしまうことにより、自分のまわりだけの意見を、(実際は様々な意見があるにも関わらず)それが正しい意見だとみんなが信じ切ってしまう怖さがあります。

この問題は、時にフェイクニュースを生み出してしまうことになる。

ウソを真実のように受けとってしまう問題があり、人は真実かどうかではなく自分が信じたいと思うことを信じてしまうことや自分と異なる意見や、見たくないニュースを見たくない心理も影響してしまう。

最近では、ニュースメディアやフェイスブックのフィードも、自分の好みに適した情報が流れてくるようになり、自分好みのフィルターのかかった情報に包まれている状態なのだ。

 

■自分たちが普段使っているテクノロジーについて、考え直してみる。

まず私たちができることは、検索エンジンのフィルターバブルから外に出ることだ。

プライベート検索結果を表示しない方法やシークレットモードを使うことで、検索エンジンのフィルターバブルから逃れることができる。

パーソナライズドフィルターがどのように私たちの情報に影響するか理解しておく必要がある。

私たちは、意識していないと刺激の強いものに自然と反応してしまう。

暴力的、性的なモノ、悲劇、ゴシップ、芸能ネタ、うわさ話など、下品で低俗的な情報に興味を惹かれてしまう。

私たちは、自らの考えで自らを洗脳し続けてしまうことになる、自分が心地よいものだけに囲まれ快適な情報の中で生活することになる。

結果的に、パーソナライズドされた世界では、自らの思い込みを吹き飛ばすような体験や発想に出会うことは無くなってしまうのだ。

フィルターバブルは、私たちが見るモノと見ないモノを選別して、私たちが体験する世界をいつの間には歪めてしまうのだ。

フィルタリングされた世界は予測外の出来事やつながりなく、学びや成長が触発されにくくなる。

 

フィルターバブルの登場で私たちの体験が大きく変わっている。

自分の関心がある情報を見つけやすくなると同時に、広告も土足で家の中に入ってくるかの如く、交換条件の様に入り込んでくる。

また、思わぬものとの出会いがなくなり、成長や変化の機会が失われる。

例えば、アマゾンでは自分の興味関心のある本を見つけることは容易であるが、書籍で偶然、一冊の本と出会う可能性は制限されてしまう。

自らが意識し続けなければ、フィルターバブルとエコーチェンバー現象が現実を湾曲させてゆくのだ。