021年に、TikTok(ティックトック)売れという言葉を耳にするようになりました。TikTok売れとは、TikTok上で閲覧した動画がきっかけで、食料品や雑貨などの商品が売れる現象です。
例えば、地味な定番商品であった食物繊維飲料「ファイブミニ」が突然売れたり、1995年に発売された文庫本が出版された小説「残像に口紅を」が、TikTokの動画をきっかけに突然売れ出したりしました。
TikTokは、動画を夢中になって見させる力がかなり強いSNSだといえます。動画を紹介するアルゴリズムが正確で中毒性があると言われています。
人工知能とレコメンデーションについて考えてみる。
人工知能の力で検索をしなくてもコンテンツが探せるようになった。
人工知能の力で大きく体験が変わった部分といえば、動画やSNSを楽しむ場合には、検索をしなくてもコンテンツが探せるインターフェイスになりつつあることかもしれません。
従来の統計アルゴリズムや過去データによらない新しいレコメンデーションが登場しています。
TikTokと比べると、Youtubeのレコメンデーションは、新しい発見と出会う確率は限定的であるように思います。
より、検索を不要にするためには類似のレコメンデーションだけではなく、ちょっと新しい発見があるレコメンデーションが求めれているようです。
そういう視点で考えると、Youtubeに比べ、TikTokがおすすめ動画をレコメンドする仕組みには、ちょっとした仕掛けがありそうです。
TikTokのレコメンデーションのやり方は、新着や人気順での表示や、ユーザーの好みに合わせたり、他のユーザーの推奨度を元に表示するだけではなく、レコメンデーションの新規性、多様性、セレンディピティ、意外性、網羅性などを意識しているようです。
tiktok 動画をなぜ見てしまうのか
現在のインターネットではコンテンツであふれています。情報が肥大化してゆくことに比例して、新しいコンテンツを見つける機会も減りました。
YouTubeは自分がフォローしているチャンネルの投稿や過去履歴の関連コンテンツが表示されるため新しいコンテンツとの出会いが少なくなってきています。
レコメンデーションを活用する際の問題はフィルターバブルの問題です。レコメンドエンジンが意図せずユーザーの視聴コンテンツを制限し、似たような動画ばかりを表示してしまう問題があることです。
TikTokでは好みじゃない動画だと思えばさっとスワイプして次の動画を見られる。次々に動画がめくりながら探すことができるのです。この仕掛けに中毒性があります。
TikTokは、一度アプリを開けるとあっという間に時間が経ってしまうほどの「中毒性」があると言われています。できるだけ長く夢中になってもらうために、おすすめのフィードを意図的に多様化させるようにチーニングされたアルゴリズムを採用しています。
TikTokは、「TikTokが「おすすめ」に動画をレコメンドする仕組み」の中で、次のように説明しています。
時には、あなたのおすすめフィードの中に、あなたが示した興味に関係ないような動画や、多くの「いいね!」を獲得していない動画に出会うことがあります。これは、私達のレコメンデーションへのアプローチの重要かつ意図的な要素です。おすすめフィードに多様な動画取り入れることで、おすすめフィードをスクロールしながら新しいコンテンツカテゴリと偶然出会ったり、新しいクリエイターを見つけたり、新しい視点やアイデアを体験したりする機会を増やすことができます。
この部分のアルゴリズムが中毒性の高いレコメンデーションにつながる一つの要素になっているのです。