中小企業におけるAIの導入が進まない理由を検証してみよう。

中小企業のAIへの取り組みは、少しずつ成功事例も生まれてきており、新規事業や業務改善のためにAIの導入を目指す企業が、増えはじめています。

以前よりもAIで活用できるデータが揃っていれば、膨大な量のデータ解析も可能となる環境を整えやすくなったこともあり、AIに対する期待値は上がっているのですが、ビジネスとAIを活用した業務システムを繋ぐパイプ役となる人材が不足していることもあり、思うように浸透していないのではないでしょうか?

中小企業において、AIの導入が上手く進まない理由を検証しながら、解決策を考えてみたいと思います。

中小企業におけるAI導入の経済効果とAI導入が進まない理由

中小企業における業界別、AI導入の経済効果

経済産業省は、中小企業のAI導入により2025年までに11兆円の経済効果が生まれると予測しており、2020年1月に実施された中小企業実態基本調査によると、2025年の段階で見込まれる主要4業界の経済効果は、上位5領域の活用だけで、3.9兆円も効果が見込まれることが予測されています。

AIの技術的な進化とともに安価で手軽なツールが出てきたことで利便性も向上しており、
中小企業の人材不足解消や、高齢化に伴う技術継承の課題にもAIが活用できると期待されています。

【引用】
資料: 中小企業実態基本調査平成30年確報、本調査中小企業サーベイ(2020年1月実施)
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中小企業におけるAIの導入が進まない理由

中小企業のAIの導入率は、5%以下であると言われています。
まだまだ、中小企業においては、AIで実現できることについての理解が不足している現状があります。

AIに関する知識を有するスタッフが少なく、導入を検討する場合には、業界や現場事情を理解していない、ITベンダーが推進しているケースも多く、成果が生まれにくい環境にあります。

結果的に、中小企業が長期的に取り組むには、予算的にも厳しく、プロジェクト半ばで歯車が狂ってしまうケースも多いです。

よほど経営層がAIへの理解度が深く、推進力を持ってじっくりと取り組んでいないと成果につなげることは難しいような状況です。

また、AIの導入に向けて、ITベンダー等、自社以外の視点から見ることのできるチームとの協業は不可欠なものですが、業界を外の視点から見るからこそ生まれる新たな視点や発想は、経営者としての想いを共有することで、初めて実践的な提案にブラッシュアップされてゆきます。

AIの導入やサービス検討にあたっては、どうやってAIを活用するのか?という視点で検討を進めてしまうことが多いのですが、ビジネスの本業に対する想いや解決したい課題を、協業するメンバーにしっかりと伝え共有した上で検討を進めてゆくことが重要になります。

AI導入へ取り組む際の心構え

AIの業務への導入を進める際には、AIを活用して将来的に達成したい構想を明確にして、その目標に向けて、小さくまず始めてみることです。
その活動結果を検証を進め、成果が出なかったAIの取り組みを精査しながら、継続的に活動を続け、段階的に育てていくような心構えで取り組みことが大切になります。

直ぐに成果を生み出すことが難しい場合も多いので、まずは経営層から従業員へ、AIへの取り組みの重要性と共に、取り組む際の心構えとプロジェクトの重要性を伝えてゆく必要があります。

また、AI導入を社内への浸透のためには、導入プロジェクトに関与しているメンバーだけではなく、全社員に、「なぜAI導入が必要なのか、何のためにAIを活用してゆく必要があるのか」を明確にして、経営層から定期的に伝えてゆくことが重要になります。

AI導入が会社に将来的に必要なことであることを伝えることで、現場の意見を引き出せるようになるため、より成果につながる取り組みを生み出してゆくことが可能になります。

導入プロジェクトを推進させる体制作り

AIは今後飛躍的に発展してゆく技術で、まだまだ発展途上にあることを考慮しておく必要があります。

すぐに成果が生まれるものではなく、成果が生まれたとしても継続的に精度をあげてゆくことが求められています。

そのため、プロジェクトの担当メンバーを集める際に中途半端にならない様に体制を整えておくことが求められます。

導入プロジェクトに十分な時間が取れるように業務負荷を下げることも必要ですし、プロジェクトへの貢献度が正しく評価される仕組みを用意する必要があります。

AIの導入プロジェクトは、どうしても短期的な成果が見えずらくなる取り組みになるため、モチベーションを保って継続的に取り組んでゆくためにも環境整備が不可欠となります。

継続的にAIに対する取り組みを行い、社内でも取り組みを共有して、AIに対しての理解を深めていく活動を続ける必要があります。

プロジェクトを推進する上で、なかなか思った様に成果が生まれない等の課題がでてくると思います。
そうした場合に、経営層も積極的に関与しながら問題を解決していく体制を整えておくと円滑に進めることができます。

むしろ、成果を出すことよりも、成果につながる糸口を見受けだす活動だというスタンスで取り組んでゆく方が上手く進むはずです。